Grasshopperを起動して、上部のタブを見た瞬間にこう思いませんでしたか?
「…コマンド、多すぎない?」
そう、Grasshopperには膨大な数の「コンポーネント(コマンド)」が用意されています。これが、多くの初心者が「何から手をつければいいのかわからない」と挫折してしまう大きな原因です。
しかし、安心してください。実際に建築モデリングで頻繁に使うコンポーネントは、その中のごく一部です。
この記事では、Grasshopper初心者の建築学生さんが最初に覚えるべき必須コンポーネント15個を、機能別に厳選して紹介します。
ここに紹介するコンポーネントをマスターすれば、基本的なチュートリアルはほぼ理解できるようになり、簡単なアルゴリズムなら自力で組めるようになります。いわば、Grasshopperの世界の「あいうえお」や「ABC」だと思ってください。
そもそも、まだGrasshopperがよく分かっていない方へ
もし「Grasshopperの考え方自体がまだフワフワしている…」という場合は、先に下の入門記事を読むことを強くおすすめします。遠回りに見えて、実は理解への一番の近道です。
記事リンク
→ 【Grasshopper入門】建築学生のための最初の一歩!難しいイメージが変わる「考え方」と基本操作
① パラメータ (Params) 系 – すべての操作の「入力」となる部品
Params
タブにあるコンポーネントは、数値やジオメトリ(点、線、面など)をGrasshopperに「入力」したり、格納したりするための「器」の役割を果たします。
- Number Slider (ナンバースライダー)
言わずと知れた、パラメトリックデザインの心臓部。数値をスライドバーで直感的に変更できます。建物の階数、高さ、幅など、可変にしたいパラメータはすべてこれを使います。 - Panel (パネル)
数値や文字を表示するためのメモ帳のようなコンポーネント。コンポーネントからどんなデータが出力されているかを確認したり、簡単な数値を直接入力したりと、デバッグ(エラー探し)に不可欠な相棒です。 - Point (ポイント)
XYZ座標を持つ「点」を格納する器です。Rhino上の点を参照したり、他のコンポーネントが生成した点を格納したりします。すべてのジオメトリの原子となる、最も基本的な要素です。 - Curve (カーブ)
Rhinoで描いた線や曲線を参照して、Grasshopperに持ってくるためのコンポーネントです。敷地境界線や基準線など、手描きした線をアルゴリズムのベースにしたい時に使います。
② 計算 (Maths) 系 – ルールを作る「頭脳」となる部品
数値データを加工し、設計の「ルール」を作り出すためのコンポーネントです。
- Series (シリーズ)
「等差数列」を作成します。「階高3000mmで10階分の高さリストを作る」のように、等間隔の部材を配置する際の基準座標を作るのに多用します。階段チュートリアルでも大活躍しましたね。 - Range (レンジ)
「0から100までを10分割する」のように、ある範囲の数値を指定した数で分割します。タワーのチュートリアルで、階が上がるごとに回転角度を変化させるのに使いました。 - Addition / Multiplication (加算 / 乗算)
最も基本的な四則演算です。入力された数値を足したり(+
)、掛けたり(*
)します。シンプルな分、応用の幅は無限大です。
③ カーブ (Curve) 系 – 「線」を自在に操る部品
点や数値から、線や曲線といった1次元のジオメトリを生成します。
- Line (ライン) 2つの点を繋いで、最もシンプルな直線を作成します。
- Circle (サークル) 中心点と半径を指定して、円を作成します。床スラブや柱の断面など、建築の基本形状を作るのに使います。
- Divide Curve (ディバイド・カーブ) 一本の線を指定した数で等分割し、その分割点を取得できます。ファサードの縦マリオンの配置位置を決めたり、梁を等間隔に配置したりする際に非常に便利です。
④ サーフェス (Surface) 系 – 「面」を生成する部品
線や曲線から、2次元のジオメトリであるサーフェス(面)を生成します。
- Rectangle (レクタングル) 基準点とXYのサイズを指定して、長方形を作成します。床や壁、窓の形状を作る基本コンポーネントです。
- Loft (ロフト) 複数の断面曲線を滑らかに繋ぎ合わせて、サーフェスを生成します。複雑な自由曲面のスキンを作る際の切り札となるコンポーネントです。
- Extrude (エクストルード) 線や面を、指定した方向に押し出して立体化します。2Dのプランから壁を立ち上げたり、踏み板に厚みをつけたりする際に使います。
関連記事リンク
→ 【Grasshopper初心者向け】ナンバースライダーで自由自在!パラメトリックな階段の作り方を徹底解説
⑤ 変形 (Transform) 系 – ジオメトリを「動かす」部品
作成したジオメトリを移動、回転、拡大・縮小するためのコンポーネントです。
- Move (ムーブ) ジオメトリを、指定したベクトル(方向と距離)に移動させます。最も基本的な変形操作です。
- Rotate (ローテート) ジオメトリを、指定した中心点と角度で回転させます。ねじれたタワーのように、デザインに「回転」の要素を加えたい時に使います。
まとめ:まずはこの15個を使いこなすことから始めよう!
今回紹介した15個の基本コンポーネントは、いわばGrasshopper言語の基礎単語です。
最初は一つ一つの意味を覚えるだけで精一杯かもしれませんが、これらを組み合わせて簡単なアルゴリズムを自分で作ってみることで、単語が文章になるように、だんだんとGrasshopperで「思考」できるようになっていきます。
ぜひ、この記事をブックマークして、困ったときに見返してみてください。
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