【建築学生向け】プレゼンボードが劇的に変わる!Illustrator活用術完全ガイド

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建築学生の皆さん、こんにちは! 「CADで図面は描けるけど、プレゼンボードになるとどうもパッとしない…」「自分の設計の魅力がうまく伝わらない…」そんな悩みを抱えていませんか?

その悩み、Adobe Illustratorが解決してくれるかもしれません。

この記事では、プレゼンボード制作に特化したIllustratorの基本的な使い方から、あなたの作品を一つ上のレベルに引き上げる実践的なテクニックまで、どこよりも分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、自分のアイデアや設計の意図を、より魅力的に、そして的確に表現するスキルが身についているはずです。

1. はじめに:なぜ建築学生にIllustratorが必要なのか?

CADだけでは伝わらない「世界観」を表現しよう

CADソフトは、正確な図面を描くための最高のツールです。しかし、プレゼンテーションで重要なのは、図面の正確さだけではありません。その建築が持つ「世界観」や「コンセプト」を、見る人に直感的に伝えることです。

  • CAD:正確な図面を描くツール
  • Photoshop:写真やパースの加工・レタッチが得意なツール
  • Illustrator:線や図形を自由に扱い、レイアウトやデザインを構築するツール

Illustratorを使えば、CADで描いた無機質な線に表情をつけたり、写真やCGパース、ダイアグラム、テキストを美しくレイアウトしたりと、ボード全体を一つの作品としてデザインできます。設計の意図を補強し、見る人の心を動かすプレゼンボードを作る上で、Illustratorは強力な武器になるのです。

2. まずはここから!Illustratorの環境設定と基本操作

何事も初めが肝心です。まずはプレゼンボード制作に最適な環境を整えましょう。

プレゼンボード制作の第一歩

  1. アートボードの設定
    Illustratorを起動したら、まずは[ファイル] > [新規]で新しいドキュメントを作成します。設計課題で指定されているボードのサイズ(A1やA2など)に設定しましょう。単位は「ミリメートル」にしておくと、現実のスケールと合わせやすく便利です。
  2. カラーモードは「CMYK」に
    印刷を前提とするプレゼンボードは、カラーモードをCMYKカラーに設定するのが基本です。これは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクを混ぜて色を表現する方法で、印刷物の色味に最も近い設定です。Webで見るRGBの鮮やかな色と、印刷後の色の差をなくすために重要です。

これだけは覚えたい!必須ツール5選

Illustratorにはたくさんのツールがありますが、まずは以下の5つを覚えればOKです。

  • 選択ツール(黒い矢印)
    作ったオブジェクトを移動したり、大きさを変えたりする、最もよく使うツール。
  • ペンツール
    自由な線や曲線を描くためのツール。敷地図をトレースしたり、ダイアグラムの矢印を描いたりするのに使います。最初は操作が難しいですが、これを使えるかどうかが上達の鍵です。
  • 長方形ツール
    四角形を描くツール。長押しすると、楕円形や多角形なども選べます。レイアウトの骨格を作ったり、図形のベースに使います。
  • 文字ツール
    タイトルや説明文など、テキストを入力するためのツール。
  • スポイトツール
    クリックしたオブジェクトの色や、線の太さ・種類、文字のスタイルなどをコピーして、他のオブジェクトに適用できる超便利ツールです。

作業効率が格段にアップする「レイヤー」を使いこなそう

レイヤーとは、透明なシートのようなものです。このシートを何枚も重ねて1つのデータを作るイメージです。なぜレイヤー分けが必要かというと、修正や編集が圧倒的に楽になるからです。

おすすめのレイヤー分けの例:

  • 背景:ベースとなる色やテクスチャ
  • 図面:CADから読み込んだ平面図や立面図
  • ダイアグラム:コンセプトを示す図
  • 添景:人物や樹木などの素材
  • 文字:タイトルや説明文

このように分けておくことで、「文字だけを動かしたい」「図面の色だけを変えたい」といった時に、他の要素を誤って選択することなく、スムーズに作業を進められます。

レイヤーについての詳しい解説はこちら↓
【建築学生向け】Illustratorのレイヤー機能を制覇!図面・プレゼン作成が劇的に速くなる使い方を徹底解説

3. 実践編:図面と画像を魅力的に見せるテクニック

基本操作を覚えたら、いよいよ素材をボードに配置していきましょう。

CADデータをIllustratorで読み込む

RhinocerousやCADで作った図面は、DXF/DWG形式で保存し、Illustratorの[ファイル] > [開く]から読み込めます。

  • 線の編集
    読み込んだ直後は、線がバラバラ(グループ化されていない)ことが多いです。同じ種類の線を選択して([選択] > [共通] > [線幅]などが便利)、線の太さや色、種類(破線など)をまとめて変更しましょう。
  • ライブペイントツールで簡単着彩
    壁や床など、閉じられた領域に色を塗りたい時は「ライブペイントツール」が便利です。オブジェクトを選択した状態でこのツールに切り替え、絵の具を流し込むように直感的に着彩できます。

    RhinocerousからIllustraterへの図面の取り込みについてはこちら↓
    【Rhinocerousからイラレへ】図面をきれいに読み込む設定とテクニック

レンダリング画像・CGパースの配置と加工

  • クリッピングマスクで切り抜き
    パースを円形や好きな形に切り抜きたい時は「クリッピングマスク」を使います。切り抜きたい形をパース画像の上に重ねて、両方を選択した状態で右クリック > [クリッピングマスクを作成]で完成です。
  • 色味の調整
    Illustratorでも簡単な色味の調整は可能です。画像を選択し、[編集] > [カラーを編集] > [再配色]などで、ボード全体のトーンに合わせた色調に変更できます。

地図や敷地周辺図をトレースしてオリジナルマップを作成

Googleマップなどの地図画像を下敷きにして、ペンツールで道路や建物をなぞる(トレースする)ことで、プレゼンボードの雰囲気に合ったオリジナルの敷地周辺図を作成できます。必要な情報だけをシンプルに表現することで、周辺環境との関係性を分かりやすく示すことができます。

4. コンセプトが一目で伝わる!ダイアグラム作成術

ダイアグラムは、設計のコンセプトやロジックを視覚的に伝えるための強力なツールです。

シンプルな図形と線でアイデアを可視化する

  • 矢印やアイコンは、長方形ツールやペンツールを組み合わせて簡単に作成できます。
  • 線の種類は[線パネル]から破線や点線に変更でき、動線や視線の通りなど、線の意味合いを表現するのに役立ちます。
  • [透明パネル]でオブジェクトの不透明度を調整したり、「描画モード」を[乗算]などに変更したりすると、要素が重なり合った部分の表現に深みが出ます。

5. プロの仕上がり!添景とレイアウトのコツ

細部へのこだわりが、プレゼンボード全体のクオリティを決定づけます。

プレゼンボードに命を吹き込む「添景」のあしらい方

人物や樹木などの添景は、図面にスケール感と活気を与えます。

  • テイストを統一
    リアルな人物と、シンプルな線画の樹木が混在すると、ボード全体がチグハグな印象になります。シルエット素材、線画素材など、テイストを揃えましょう。
  • おすすめフリー添景サイト
    SKALGUBBAR(スカルグバー)NONSCANDINAVIA など、建築学生向けの高品質な素材を配布しているサイトがたくさんあります。

美しく見やすいレイアウトの原則

  • 「整列」ツールを使いこなす
    オブジェクトを複数選択し、[整列パネル]からボタンを押すだけで、要素を綺麗に整列させることができます。「等間隔に分布」も非常に便利です。
  • グリッドを意識する
    目には見えないガイドライン(グリッド)を意識し、それに沿って図面やテキストを配置すると、ボード全体に統一感が生まれ、情報が整理されて見えます。

フォント選びと文字詰めで差をつける

  • フォント
    本文は可読性の高いゴシック体(例:Noto Sans JP)、タイトルはデザインのアクセントになるような少し個性的なフォントを選ぶなど、メリハリをつけるのがおすすめです。
  • 文字詰め
    タイトルなど、大きく表示する文字は、少し文字間を詰める(カーニングする)だけで、ぐっと引き締まってプロらしい印象になります。[文字パネル]で調整できます。

6. 保存と印刷で失敗しないための最終チェック

せっかく作ったデータも、最後の書き出しで失敗しては元も子もありません。

用途に合わせた書き出し形式

  • 大判プリンターで印刷する場合PDF形式が一般的です。[ファイル] > [別名で保存]からPDFを選択し、プリセットで[高品質印刷]を選びます。「トンボと裁ち落とし」の項目で、「トンボ」にチェックを入れるのを忘れずに。
  • ポートフォリオサイトやSNS用JPEGPNG形式で書き出します。[ファイル] > [書き出し] > [Web用に保存]から、適切なサイズと画質を選びましょう。

印刷前に確認すべき項目リスト

  • 文字は全てアウトライン化したか? ([書式] > [アウトラインを作成])
  • 配置した画像は全て埋め込まれているか? ([ウィンドウ] > [リンク]で確認)
  • カラーモードはCMYKになっているか? ([ファイル] > [ドキュメントのカラーモード])

7. まとめ

Illustratorは建築学生の強力な武器になる

ここまで、おおざっぱにではありますが、Illustratorを使ったプレゼンボード制作のテクニックを紹介してきました。最初は難しく感じるかもしれませんが、今回紹介した内容は、どれも一度覚えてしまえば様々な場面で応用できるものばかりです。

Illustratorは、あなたの頭の中にある素晴らしいアイデアや、時間をかけて練り上げた設計を、最大限に魅力的に伝えるための最高のパートナーです。ツールを使いこなして、自信を持ってプレゼンテーションに臨みましょう!

さらなるステップアップのために

  • Adobe公式サイトのチュートリアル:基本操作を動画で学べます。
  • 建築系雑誌のレイアウトを真似てみる:『新建築』や『GA JAPAN』など、プロのレイアウトには学ぶべき点がたくさんあります。

この記事が、あなたの作品づくり一助となれば幸いです。応援しています!

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