建築学生の皆さん、こんにちは!
今回は、敷地データを正確かつ効率的に3Dモデル化し、さらに敷地模型の作成にも活用できる、RhinocerosとGrasshopperを使った実践的なワークフローをご紹介します。この方法は、私が大学の授業課題に取り組む中で見つけ出し、実際にプロジェクトで等高線が0.5m間隔の精密な敷地モデルを作成する際に非常に役立ちました。
なぜこの方法を使うのか?
敷地データを手作業で入力したり、既存の3Dモデルを調整したりするのは時間がかかり、精度も落ちがちです。特に、高低差のある敷地や複雑な形状の敷地を扱う場合、この手法は作業時間を大幅に短縮し、モデルの精度を向上させます。また、Grasshopperを使うことで、一度定義したプロセスを他の敷地データにも応用できるため、設計の初期段階での検討がスムーズになります。
1. 高精度な等高線データを手に入れる(KMLファイル)
まず、敷地の等高線データを取得します。私は様々なツールを試しましたが、0.5m間隔という高精度な等高線データが必要な場合は、「Web等高線メーカー」というサイトを使います。(サイトはこちら→https://ktgis.net/service/webcontour/index.html)
サイトにアクセスし、モデル化したい敷地を地図上で探します。今回は例として「福島駅」周辺を選択します。

デフォルトでは等高線の間隔が10mになっているため、画面左側の設定パネルで「等高線間隔」を「0.5m」に、「描画精度」を「高精度」に変更します。
より細かく、正確な等高線がプレビュー表示されますね。

等高線取得、をクリックすると新しく等高線が描画されます!
等高線が取得出来たら、その下の「KMLファイルを取得」をクリックしてください。自動的にKMLファイルがダウンロードされます。(このファイル形式がかなり厄介)
次に、KMLファイルをイラレやRhinoで扱えるdxfに変換していきましょう!
2. KMLファイルをDXFに変換
取得したKMLファイルをRhinocerosで扱えるDXF形式に変換します。変換には以下のサイトを使います。(DXFに変換できればなんでも大丈夫です)
https://mygeodata.cloud/
1.サイトを開き、先ほどダウンロードしたKMLファイルをドラッグ&ドロップするか、ファイル選択でアップロードします。


2.ファイルが読み込まれると、地図上にデータの範囲が表示されます。内容を確認して次に進みましょう。

3.【最重要】 出力フォーマットを選択する画面で、必ず「Autodesk DXF」を選んでください。これを間違えるとRhinocerosで開けません。

4.ダウンロードする

以上の手順でKMLをDXFに変換することができました!
3.Rhinocerousで等高線図を開く
いよいよ、Rhinocerousで等高線図を開いていきます。
ファイル>開く を選択し、ダウンロードしたDXFファイルを開いてください。

無事に等高線データを開けましたね。ただし、この時点ではまだ2Dの線データに過ぎません。これから正確な3Dモデルにしていくためには、①縮尺を合わせ、②各等高線に正しい高さ(Z軸)情報を与える必要があります。
ここからの高さ入力は根気のいる作業ですが、ご安心ください。今回のワークフローで正確な縮尺の2Dデータを作っておけば、続編で紹介するGrasshopperを使うことで、この面倒な作業を一瞬で自動化できます!
4. 等高線図の縮尺を合わせる
1.基準となる長さを確認する
まず、地図上で長さが分かりやすい場所を探します。道路の幅員、建物のファサード長、公園の敷地境界など、後で正確な長さを測定できる直線部分を見つけましょう。今回は、国土地理院の「地理院地図」を使い、「福島市立福島第一小学校」東側の道路幅を基準にします。

2.地理院地図で長さを測る
次は、地理院地図の計測ツールを使って決めた箇所の長さを測ります。


およそ34mということがわかりました
3.Rhinocerousで縮尺を合わせる
次に、Rhinocerosに戻り、先ほど地理院地図で計測したのと同じ箇所を探します。
- コマンドプロンプトに
Scale
と入力し、Enterキーを押します。 - 「スケールを変更するオブジェクトを選択」と表示されたら、すべての等高線を選択し、Enterキーを押します。

基点を設定」と表示されたら、計測した道路の始点をクリックします。
「尺度係数または1番目の参照点を設定」と表示されたら、道路の終点をクリックします。
「2番目の参照点を設定」と表示されたら、コマンドプロンプトに先ほど計測した長さ(今回は 34m なので 34000 と入力 ※単位がmmの場合)を入力し、Enterキーを押します。
まとめ と 次のステップへ
お疲れ様でした!
今回のワークフローで、Webサイトから取得した地理情報を、Rhinoceros上で正確なスケールの2D等高線データとして準備することができました。
この下準備こそが、精度の高い3D敷地モデルを効率的に作成するための最も重要なステップです。
そして、ここからが本番です。次回は、このデータを使ってGrasshopperを連携させ、3Dの地形モデルを立ち上げる方法を解説します。さらに、そのデータを応用して、美しい等高線模型を作成するテクニックもご紹介する予定です。
ぜひ、今回の内容をマスターして、次のステップに進んでみてください!
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