「うまく線が繋がらない…」「作ったモデルが微妙にズレてて気持ち悪い!」
建築学生がRhinoceros(ライノセラス)でモデリングを始めると、多くの人がこの壁にぶつかります。そのイライラの原因、実はオブジェクトスナップを正しく使えていないことかもしれません。
この記事では、Rhino初心者やオブジェクトスナップが苦手な建築学生さんに向けて、
- オブジェクトスナップ(Osnap)の基本的な考え方
- 建築モデリングで本当に役立つおすすめ設定
- 作業効率が爆上がりする応用テクニック
などを、どこよりも分かりやすく解説します。この記事を最後まで読めば、もうスナップで悩み、作業が止まることはなくなります!
オブジェクトスナップ(Osnap)の基本をサクッと理解しよう
まず「そもそもオブジェクトスナップって何?」という疑問から解決しましょう。
オブジェクトスナップとは、一言でいえば「オブジェクトの特定点に磁石のようにカーソルを吸着させる」超便利機能です。
これを使うことで、「線の端」「円の中心」「2つの線が交わる点」などを寸分の狂いなく正確に捉えることができます。手作業でなんとなく合わせるのとは、精度が天と地ほど変わります。
どこで設定するの?
オブジェクトスナップの設定は、Rhino画面下部のステータスバーにある「Osnap」という項目で行います。

もしOsnapパネルが表示されていない場合は、「Osnap」と書かれた部分をクリックすれば表示されます。
最重要:「永続スナップ」と「1回限りのスナップ」の違い
オブジェクトスナップには2種類の使い方があり、この使い分けが作業効率を上げるカギになります。
- 永続スナップ
- 使い方:OsnapパネルのチェックボックスをONにしておく。
- 特徴:常に有効になっているスナップ。よく使う項目はここにチェックを入れておきます。
- 1回限りのスナップ
- 使い方:
Alt
キー(MacはOption
キー)を押しながら、特定の点(端点、中点など)をクリックする。または、コマンド実行中に直接「end」や「mid」と入力する。 - 特徴:その場限り、一回だけ特定の点にスナップしたい時に使います。永続スナップを汚さずに済むのがメリットです。
- 使い方:
普段は「永続スナップ」をONにしておき、特別な点を取りたい時だけ「1回限りのスナップ」を使う、という流れが基本になります。
【建築学生向け】これだけはONにしろ!おすすめ永続スナップ設定
Osnapパネルにはたくさんの項目がありますが、初心者のうちはどれをONにすればいいか迷ってしまいますよね。
結論から言うと、建築モデリングでは、まず以下の7つをONにしておけば間違いありません。

- 端点 (End):線やカーブの端点。線と線を繋ぐ基本中の基本です。
- 中点 (Mid):線やカーブの中間点。部屋の中心線や通り芯を引くのに必須。
- 交点 (Int):線やカーブが交わる点。補助線との交点を拾うのに多用します。
- 垂直店 (Perp):ある点から線に対して垂直な点を拾います。壁や柱を垂直に立てる際に非常に重要です。
- 中心 (Cen):円、円弧、ポリゴンの中心。円形の柱や窓の中心を正確に捉えます。
- 接点 (Tan):滑らかな曲線を描きたい時に。Rのついた壁などで使います。
- 四半円点 (Quad):円や円弧の0, 90, 180, 270度の点。円の中心がわからない時に役立ちます。
まずはこの設定を真似してみてください。これだけで基本的なモデリングはかなりスムーズになるはずです。
【完全網羅】全オブジェクトスナップ機能まとめ
ここでは、Osnapの全機能をまとめます。特定の機能の動きを確認したい時に参考にしてください。
- 端点 (End): 線やカーブの端にスナップします。
- 点 (Point): 点オブジェクトにスナップします。
- 中点 (Mid): 線やカーブの中間点にスナップします。
- 中心 (Cen): 円や円弧の中心にスナップします。
- 交点 (Int): オブジェクト同士が交差する点にスナップします。
- 垂直店 (Perp): カーブ上の垂点にスナップします。
- 接点(Tan): カーブ上の接点にスナップします。
- 四半円点 (Quad): 円や円弧の頂点にスナップします。
- 節点 (Knot): カーブやサーフェスの節点にスナップします。
- 頂点 (Vertex): メッシュやSubDの頂点にスナップします。
- 投影 (Project): これをONにすると、すべてのスナップが作業平面(CPlane)に強制的に投影されます。3D空間で作業しているつもりが、意図せず平面的な作図になってしまうことがあるので、初心者のうちはOFFにしておくのがおすすめです。
【脱初心者】作業効率が爆上がりする応用テクニック3選
基本をマスターしたら、次は一歩進んだテクニックに挑戦してみましょう。これらを使いこなせれば、モデリングのレベルが格段に上がります。
1. スマートトラック (SmartTrack) を使いこなす
スマートトラックは、複数のスナップ点から白いガイド線(推測線)を伸ばし、何もない空間に正確な点を生み出す機能です。ステータスバーの「スマートトラック」をクリックしてONにします。
例えば、「壁の角からX方向に1000mm、Y方向に500mmの位置」に点を打ちたい時に絶大な効果を発揮します。
使い方は、基準にしたいスナップ点(端点など)に一瞬カーソルを合わせるだけ。白い点が表示されたら、そこからガイド線が伸びるようになります。
2. Tabキーで「方向拘束」する神ワザ
これは上級者も多用するテクニックです。ある線と同じ傾きの線を、離れた場所から引きたいと思ったことはありませんか?
そんな時は、基準となる線の上でTab
キーを押してみてください。カーソルの動きがその線の方向にロック(拘束)され、平行な線を簡単に描くことができます。傾いた敷地でのモデリングなどで非常に役立ちます。
3. 「投影 (Project)」のON/OFFを意識する
先ほど「初心者はOFF推奨」と説明した「投影」スナップですが、もちろん便利な場面もあります。
それは、3Dビューで作業していても、結果は2Dの図面としてきれいにまとめたい時です。例えば、立面図や断面図の上からトレースするような作業では、「投影」をONにすることで、全ての点が綺麗に同一平面上に描画されるため、ズレを防ぐことができます。
3Dで立体的に作図するときはOFF、2Dで平面的な作図をするときはON、と意識的に切り替えるのがコツです。
よくある質問・トラブルシューティング (Q&A)
Rhino初心者がオブジェクトスナップでつまずきがちな点をまとめました。
Q1. なぜかスナップが全く効かない!
A. 最も多い原因は、Osnapパネル全体が無効になっていることです。
ステータスバーの「Osnap:無効*という部分をクリックして、有効に切り替えましょう。また、対象のオブジェクトがロックされている場合もスナップしないので確認してみてください。
Q2. 意図しない点にばかりスナップしてしまう…
A. 複雑なモデルになると、多くのスナップ候補が密集してしまい、狙った点にスナップしにくくなります。この場合は、 一時的に不要な永続スナップ(中点など)のチェックを外す、マウスホイールでグッと拡大して作業する、「1回限りのスナップ」で狙い撃ちする といった対策が有効です。
Q3. 3Dビューで線を引いたら、変なところに線が描かれてしまった…
A. それは「投影(Project)」スナップがONになっているのが原因かもしれません。意図せず全ての操作が作業平面に投影されてしまっています。3D空間で自由に線を結びたい場合は、「投影」のチェックを外しましょう。
まとめ:オブジェクトスナップは、正確なモデリングの「土台」です
今回は、Rhinoのオブジェクトスナップについて徹底的に解説しました。
- Osnapは、モデリングの精度とスピードを支える最重要機能
- まずは「おすすめ設定」を真似して、永続スナップに慣れよう
- スマートトラックやTabキー拘束を使いこなせば、作業効率はさらにアップする
オブジェクトスナップは、いわば正確なモデリングを行うための「土台」です。この土台がしっかりしていれば、その上にどんなに複雑な建築モデルでも、きれいに、そしてスピーディーに組み上げていくことができます。
ぜひ、この記事をブックマークして、いつでも見返せるようにしてくださいね。
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